ロードバイクではハムストリングスを使ったペダリングが重要と言われるけどなぜ?どうやって鍛えればいいの?
こういった疑問をもっている初心者の方も多いと思います。
そこで、この記事では、ハムストリングスが重要な理由をはじめ、ペダリングの方法や鍛え方について紹介します。
ハムストリングスとは
ハムストリングスが重要な理由を説明するため、ハムストリングスとはどこの筋肉なのかを解説します。
ハムストリングスとは、大腿の後面にある以下の3つの筋肉の総称です。簡単に言うと、太ももの裏側にある筋肉群を指します。
- 大腿二頭筋
- 半膜様筋
- 半腱様筋
これらの筋肉は、膝を曲げたり、股関節を伸ばしたりする働きを持ち、日常生活やスポーツ活動において非常に重要な役割を果たしています。
なぜハムストリングスを使うのか?
筋肉は、速筋と遅筋という2つの筋肉でできています。
速筋は「瞬発力」、遅筋は瞬発力はありませんが「スタミナ」があるので疲れにくいのが特徴です。
持久系のマラソンランナーは、筋肉の80%が遅筋と言われており、自転車も同じく持久系スポーツのため、長時間のライディングには遅筋のトレーニングが重要になります。
そして、ハムストリングスは遅筋に該当します。
太もも前面にある「大腿四頭筋」を使ったペダリングでは、速筋が使われやすく、すぐに疲れてしまうため、体力の消耗が大きくなります。そのため、遅筋であるハムストリングスを鍛える必要があります。
ハムストリングスを活用したペダリングを行うことで、長時間のロードバイク走行でも疲労を軽減でき、レースでは、大腿四頭筋をゴール前のスプリントに向けて温存することができます。これにより、終盤のパフォーマンスを向上させることが可能です。
ハムストリングスの働き
ハムストリングスの働き(役割)は、大きく3つあります。
働き | 動きの説明 |
---|---|
①膝関節屈曲 | 膝を曲げて引き上げる働き(膝を曲げて踵を太もも後ろにつけるような感じ)。 |
②股関節伸展 | 股関節を伸ばす働き(太ももお腹側に上げた状態から立った状態へ戻す)。 |
③股関節過伸展 | 股関節を後ろ側へ伸ばす働き(太もも付け根から後ろに引く感じ) |
それぞれの動きを図解すると以下の画像のようになります。
自転車では、ペダルを回すときには既に膝が曲がっているので、①のような膝を伸ばした状態から後ろに引き上げるような動作(膝関節屈曲)で、ペダルに力を伝達することは難しいと言えます。
そのため、②のような膝が曲がった状態から股関節を伸ばす働き(股関節伸展)で、ペダルに力を伝達することになります。
ハムストリングスを使ったペダリング
ここからは、ロードバイクでハムストリングスを使ってペダリングをする方法を紹介します。
ハムストリングスを使ってペダリング(ペダルを回す)するには、股関節が曲がった状態から伸ばそうとする動きが重要です。
つまり、時計回りでペダリングした時(下図で進行方向が右側)に、「踏み足(クランクの位置が時計でいうと1時~5時)」を意識するということです。
上死点(クランクが一番上の時)や下死点(クランクが一番下の時)の近くで力を入れても、クランクには力が伝わらないため、実際は時計でいうと2時~5時くらいのところで、ハムストリングスを使います。
ハムストリングスは「引き足(時計でいうと8時~11時)で使う」とも言われますが、股関節の角度は縮まっており、膝も曲がっているため大きな力を発揮できません。
ハムストリングスは膝が曲がる時の①膝関節屈曲で力を発揮するイメージがありますが、「引き足」の場合は、ハムストリングスよりも「大腿直筋」や「腸腰筋」などの膝を引き上げる筋肉が使われてしまいます。
「引き足」でも自分で膝の曲げを意識することで多少ハムストリングスを使うことはできますが、基本的には「2時~5時くらい」の踏むペダリングで使うことを意識しましょう。
ハムストリングスでペダルを回す時に意識すること
最初は、大腿四頭筋を使ってしまいますが、できるだけハムストリングスを使うように意識することが大切です。
ハムストリングスを使うイメージは、足先周りを意識するのではなく、太ももの付け根当たりから、太ももの裏でクランクを押し下げるイメージです。
意識するための方法として、実際に筋肉が使われている時に手で触ってみると分かりやすいです。
筋力トレーニングで行われる「バックランジ」で一歩下がる時のイメージです。一歩下がる時に太もも裏を手で触ってみると、筋肉が硬くなっているのがわかります。
また、階段を2段飛ばしくらいで登る時にも使っています。
ペダリングの時は、どのタイミングで筋肉が硬くなっているかを実際に触ってみると分かりやすいです。
なかなか意識できない場合は、下記の方法を試してみるのもいいと思います。
- サドルの後ろ側に座って、ペダルは斜め下前方に蹴りだす(股関節が伸びハムストリングスが使われる)
- ケイデンス(1分間の回転数)を150でペダルを回す(無駄なペダリングでは高ケイデンスで回せない)
- 重いギアに変えてゆっくりペダルを回してみる(使われているのを意識しやすい)
- 片脚ペダリング(踏み足、巻き足でハムストリングを使っているのが意識しやすい)
ペダリングで使う筋肉
下記の画像は、時計まわりのペダリングの時に利用する筋肉です。
ハムストリングスが「踏み足(2時~5時)」の時に利用されているのが分かると思います。
大腿四頭筋を使っている場合
下記の画像は、アップストローク(時計回りのペダリングで8時から10時)でハムストリングスが使われているのを表している画像です。しかし、これが勘違いの元だと参考URLの記事が説明しています。
前述のとおり、「①膝関節屈曲」で利用してもほとんど力を発揮できないためです。
そのため、実際はダウンストローク(時計回りのペダリングで2時から5時)でハムストリングスが使われています(前述の図)。
※参考URL(https://www.bikejames.com/strength/which-muscles-are-really-used-during-the-pedal-stroke/)
ハムストリングスの鍛え方
ハムストリングスは道具を使わなくても自分の体重を使って筋トレが可能です。
そこで、ここからはハムストリングスを鍛えるための基本的なトレーニング方法を2つ紹介します。
- ノーマルスクワット
- レッグランジ
ノーマルスクワット
ノーマルスクワットは、下半身強化トレーニングの基本で、ハムストリングスの他にも大殿筋、大腿四頭筋を鍛えることができます。
動作を行う時は「体はまっすぐ」にして「かかと」に重心をのせるのがコツです。
- 足を肩幅くらいに広げて、足先を外側に向けてまっすぐ立つ
- ひざが90度になるまで、腰を真下に下げる
- 元に戻る(ひざが伸びきる前に繰り返す)
※左右10~20回x3セット
バックランジ
複数のレッグランジがありますが、その中でも「バックランジ」が、太ももの裏(ハムストリングス)を鍛えるのに効果的です。
動作を行う時のコツは「体はまっすぐに」して、重心はかかとに持ってくることです。
- 足を肩幅より少し狭めでまっすぐ立つ
- (前の足のひざが90度になくらい)片方の足を大きく一歩後ろに引いて、腰を真下に下げる
- 元に戻る(重心は前足のかかとで、けるように戻ってくる)
※左右10~20回x3セット
きんに君が分かりやすく解説してくれている動画があるので、参考にしてください!
まとめ:ハムストリングスを使ったペダリング
以上、ハムストリングスの基本知識から、自転車で利用する方法について紹介しました。
ハムストリングスは、持久力があり長時間利用しても疲れにくいという特徴を持つため、最後のラストスパートまで大腿四頭筋を温存するために重要な役割を果たします。
ペダルを踏み込む時に、太ももの裏側全体を使って、押し下げるイメージを持つとハムストリングスを使ったペダリングができるようになります。
是非マスターしてロングライドでも疲れにくいライディングをめざしましょう!