シマノのSPD-SLシューズには「RC1」「RC3」「RC5」「RC7」「RC9」があり、RCの後に続く数字が大きくなるほど、性能がよくなり価格も高くなります。
プラライダーのレビューを読んでも、実際に自分が履いてみないとシューズの機能は分かりにくいと思います。
そこで、この記事では「素材」や「テクノロジー」などの説明を追加して、シューズの違いが分かるようにしています。
シマノのRC1、RC3、RC5、RC7、RC9の違い
性能一覧比較
シマノのRC1、RC3、RC5、RC7、RC9の違いを一覧にすると下記のようになります。
RC1 | RC3 | RC5 | RC7 | RC9 | |
価格(目安) | 約1万円 | 約1.3~1.5万円 | 約1.5~1.7万円 | 約2.2~2.5万円 | 約3.2~3.5万円 |
ラストタイプ | シマノ ダイナラスト | シマノ ダイナラスト | シマノ ダイナラスト | シマノ ダイナラスト | シマノ ダイナラスト |
剛性指数 | 6 | 6 | 8 | 10 | 12 |
最適なペダル | PD-R550, PD-RS500 | PD-R550, PD-RS500 | PD-R7000 | PD-R8000 | PD-R9100 |
幅広いクリート調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
シームレスミッドソール構造 | ― | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
サラウンドラップアッパー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ヒールスタビライザー | ― | ― | ― | 〇 | 〇(ねじれ防止) |
ホローチャネル | ― | ― | ― | 〇 | 〇 |
Silvadur® | ― | ― | ― | ― | 〇 |
クロージャー | ストラップ 3本 | BOA(L6)1個 | BOA(L6)1個、シングルストラップ | BOA(L6)2個、パワーゾーンガイド | BOA(Li2)2個 |
アッパー素材 | 合成皮革 | 合成皮革 | シンセティックレザー+メッシュ | シンセティックレザー+メッシュ | マイクロファイバー シンセティックレザー + メッシュ |
ミッドソール素材 | ラスティングボード | グラスファイバーで補強されたナイロン | カーボンファイバー強化ナイロン | カーボンファイバー コンポジット | カーボンファイバー コンポジット |
アウトソール素材 | グラスファイバーで補強されたナイロン | TPU(カバー) | TPU(カバー) | TPU(カバー) | TPU(カバー) |
標準インソール | フラットインソール | カップインソール | カップインソール | ライダーの足にフィットするカップインソール | 高密度のカップインソールと順応性の高いアーチパッド |
男性用の実際の重量(サイズ:42) | 238 g | 243 g | 241 g | 255 g | 225 g |
シマノSPD-SLシューズで使われているテクノロジー
1)ラストタイプ(足底の形状)
「ラストタイプ」とは、足底の形状のことです。
シマノのビンディングシューズでは、「SHIMANO DYNALAST(シマノ ダイナラスト)」という技術を使ってシューズ底面の形状を最適化することで、スムーズで高効率なペダリングができるようにしています。
サイクリングシューズのトースプリング部 (反り) は、効率的なペダリングを支える重要な役割を果たします。トースプリングが高すぎると、足底、ふくらはぎ、そして太腿の張力が高まります。また、低すぎると両膝が離れ、効率の低いペダリングフォームになってしまいます。(中略)プロのライダーからのフィードバックに基づいて作られたSHIMANO DYNALASTを使えば、長時間のライディングでエネルギーロスを抑え、最後の直線でスパートできるだけのエネルギーを蓄えておくことができます。
参考:SHIMANO
2)剛性指数
「剛性指数」は、アウトソール(靴の裏側にあるパーツ)の硬さを示したものです。数値が大きいほど、硬くなります。
パワー伝達が効率いいのは、硬いシューズです。
3)幅広いクリート調整
クリートの位置を調整しても、しっかりパワーが伝わるようにアウトソールが設計されています。
※ビンディングシューズの「クリートをねじで止める位置」は固定なので、ねじの位置を調整できるという意味ではないです。
4)シームレスミッドソール構造
アッパーから足裏までをシームレスに包み込むような構造になっています。
また、靴底のスタックハイト(靴底の高さ)を低くすることで、ペダリングストロークを安定させ、パワー伝達効率をよくしています。
5)サラウンドラップアッパー
素材が重なり合う部分を解消し、足全体を縫い目のないレザーで包むことで、シューズと足の間の隙間を減らしてフィット感を向上させています。
6)ヒールスタビライザー
スタビライザーとは、英語の「stabilizer」からきている言葉で、直訳すると「安定させる人やもの」という意味で使われます。
ヒールスタビライザーとは、足首のブレを減らして、パワー伝達効率をあげるための「かかとを安定させる構造」のことです。
RC9には、ねじれ防止のスタビライザーが内側に入っており、加速した時に起きる足のねじれを防止できます。
7)ホローチャネル
「ホローチャネル」とは、通気性をよくするための手段のことです。
足がむれないように、クリートの取り付け位置の前部に通気孔を設けて、シューズ内に空気を送り込んでいます。
また、シューズの底には排水口により、雨の日のライディングでたまってしまう水を排出できます。
8)Silvadur®
「Silvadur®」は、銀とポリマーを組み合わせた、高い抗菌効果を長期間維持できる抗菌技術のこと。
9)クロージャー
「クロージャー」は、シューズを締めつけるための仕組みで、ストラップ(マジックテープ)とBOAがあります。
以前はラチェットタイプが使われていましたが、現在はワイヤーを使った「BOA」が主流です。
シマノでは「L6」と「Li2」があり、使っている個数も違います。
「L6」 | ・耐衝撃性にすぐれている |
「Li2」 | ・耐衝撃性が向上 ・ダイヤル部分も薄い ・「締め付け」と「緩める」の両方ができる |
10)アッパー素材
アッパーとは、足の甲にあたる部分のことです。
レザーやメッシュを使うことで、通気性をよくし、足をドライに保つことができます。
11)ミッドソール素材
ミッドソールは靴底の一つで、地面に直接接地するアウトソールより上にあり、足裏を支える中間パーツのことです。
素材にカーボンを使うことで軽量化でき、剛性を高めることができます。
12)アウトソール素材
アウトソールは、直接地面に接地する部分のことです。
「TPU」とは、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane)の略で、強度・弾性・耐摩耗性・耐屈曲性・耐油性に優れています。
13)標準インソール
インソールは、シューズに使われる中敷きのことです。
カップインソールには、かかとの丸みに合わせたヒールカップや、土踏まずのアーチをサポートする仕組みがあります。
シマノのSPD-SLの選び方
ライディングスタイルから選ぶ
下記の順でビンディングシューズを選びましょう。
- 1)ライディングスタイル
- 2)サイズの確認
1)ライディングスタイル
まずは、ライディングスタイルに合わせて検討しましょう。
初心者でも、足をしっかり固定してパワー伝達ができるBOAシューズ「RC3」以上がおすすめです。ストラップよりもBOAの方がしっかり足を固定できます。
BOAの中でも、ホビーレースに参加予定なら「RC5」以上、ガチレースに出場するなら「RC7」以上にしておくと、買い替えなくてすみます。
2)サイズの確認
サイズの確認は、できるだけ現物を履いてみた方がいいです。
サイズが小さいと足が痛くなってしまい、大きすぎてもパワー伝達効率が悪くなります。
最適なサイズを確認したうえで、ネットで購入するのがオススメです。
シマノ RC3
BOA® L6ダイヤルをシューズのセンターに配置した、新しいクロージャーシステムを搭載しており、調整しやすく、フィット感、安定性、パフォーマンスも向上しています。
サラウンドラップ構造のアッパーにより、足とシューズがぴったりフィットし、スタックハイトの低いミッドソールで足元の安定性がアップ。合成皮革にパーフォレーションを施したコンポジットアッパーにより通気性がよくなっています。
シマノ RC5
サラウンドラップ構造のアッパーにより、オーバーラップを減らし、ぴったりとしたフィット感を実現しており、快適なミッドソールとアッパーの一体化設計により安定性とパフォーマンスが向上しています。
BOA®L6ダイヤルが、どんな足の形状でも素早く快適に固定。カーボンファイバーがミッドソールを補強し、スタックハイトが低いミッドソールで足元を安定させ、ワー伝達効率を高めています。
シマノ RC7
S-PHYRE(プロライダー向けに設計されたテクノロジー)を受け継いだロードコンペティションレベルシューズ。高密度シンセティックレザーと軽量メッシュ/TPUの組合せで、フィット感と快適性がアップしています。
高剛性のホローカーボンミッドソールを採用したことで、シューズ中に空気の取り入れができ、たまった水の排出も可能です。独立した2つのBOA®L6ダイヤルで、締め付け具合を素早く微調整できます。