平成30年、東京の放置自転車の現状と見えてくるもの

東京都が「放置自転車の現況と対策」というレポートを発表しています。

平成30年(2018年)10月中旬に計測した放置自転車についてのレポートで、それによると、東京都の放置自転車数は、

平成2年の約24.3万台をピークに年々減少傾向にあり、平成30年度の調査では27,332台(前年度比 3,994台減少)となった。

と報告しています。

放置自転車が一番多い区は?

調査によると、東京都で一番放置自転車が多い区は・・・

「千代田区」

です。
2,506台の自転車が放置されており、千代田区内にある駅別の集計では「秋葉原駅」での放置が多くあり、301台となっています。

自転車等駐車場の設置数は?

放置自転車を減らすための「自転車等駐車場の設置数」は、

15年連続で増加し、平成30年は2,708箇所(前年度比76箇所増加)となった。

と報告しています。

しかし、千代田区の自転車等駐車場による自転車の収容能力は、3,430台と区内では一番少なく、放置自転車が多い原因と考えられます。

自転車の撤去数は?

平成29年に撤去した自転車の数(平成30年はまだ集計していない模様)は、357,067台で、その内、215,702台を返還していて、返還率は約60%です。
何かしらの理由で置き忘れてしまい、撤去されたのが半数以上ということです。

そして、この放置自転車の「撤去、自転車等の返還手数料」に・・・

約724,824,000円

がかかっています。費用は、区市町村が負担しますが、結局は税金や鉄道会社が負担するため、まわりまわって自分が払っているかもしれません。

いくらかかっているのか?

資料には、54の区市町村の平成30年の歳入と歳出がのっています。

それによると、歳入と歳出を合わせてプラスになっているのは「渋谷区」のみで、他は全てマイナスとなっています。いわゆる赤字運営で、慈善事業となっているのが現状です。
※檜原村、奥多摩町は歳入も歳出もありません。

以下が歳出と歳入と収支を表にしたもので、収支のマイナスが多い順です。

歳出
(合計)
歳出
(投資的経費)
歳出
(消費的経費)
歳入 収支
練馬区 1,968,109 935,124 1,032,985 209,342 -1,758,767
国分寺市 987,675 713,405 274,270 262,357 -725,318
大田区 1,457,378 85,135 1,372,243 802,396 -654,982
武蔵野市 576,468 76,011 500,457 7,301 -569,167
足立区 958,235 258,411 699,824 453,709 -504,526
墨田区 745,129 407,125 338,004 254,624 -490,505
板橋区 1,023,969 88,260 935,709 562,723 -461,246
調布市 726,586 292,886 433,700 296,968 -429,618
三鷹市 412,224 3,113 409,111 3,422 -408,802
江戸川区 1,503,594 86,587 1,417,007 1,122,984 -380,610
新宿区 485,003 21,325 463,678 173,311 -311,692
中央区 358,889 131,823 227,066 59,771 -299,118
西東京市 255,392 26,620 228,772 5,507 -249,885
世田谷区 475,015 16,213 458,802 237,118 -237,897
杉並区 962,816 20,539 942,277 728,644 -234,172
豊島区 636,422 0 636,422 412,659 -223,763
江東区 259,481 16,145 243,336 36,470 -223,011
立川市 470,142 17,365 452,777 248,211 -221,931
中野区 420,654 4,940 415,714 209,761 -210,893
葛飾区 336,800 20,000 316,800 127,527 -209,273
台東区 359,614 0 359,614 169,454 -190,160
品川区 443,523 82,005 361,518 306,700 -136,823
荒川区 160,290 10,909 149,381 27,767 -132,523
北区 398,026 97,286 300,740 268,792 -129,234
八王子市 143,743 0 143,743 16,814 -126,929
小平市 298,101 6,932 291,169 191,383 -106,718
千代田区 157,498 27,065 130,433 55,403 -102,095
府中市 165,282 0 165,282 79,760 -85,522
目黒区 144,750 0 144,750 63,080 -81,670
町田市 81,480 20,563 60,917 8,135 -73,345
多摩市 76,830 13,550 63,280 4,439 -72,391
文京区 162,970 320 162,650 98,096 -64,874
国立市 203,230 53,668 149,562 139,955 -63,275
小金井市 158,749 0 158,749 102,492 -56,257
港区 51,870 0 51,870 7,985 -43,885
東久留米市 105,639 0 105,639 64,106 -41,533
昭島市 174,888 12,800 162,088 137,278 -37,610
東村山市 242,293 0 242,293 213,183 -29,110
東大和市 23,577 3,004 20,573 3,315 -20,262
羽村市 20,153 0 20,153 1,742 -18,411
日野市 22,453 0 22,453 4,549 -17,904
狛江市 18,394 0 18,394 1,620 -16,774
清瀬市 29,379 90 29,289 13,278 -16,101
町村部計 15,128 0 15,128 69 -15,059
福生市 15,196 0 15,196 449 -14,747
あきる野市 13,065 0 13,065 578 -12,487
瑞穂町 12,495 0 12,495 69 -12,426
武蔵村山市 11,712 0 11,712 0 -11,712
日の出町 2,633 0 2,633 0 -2,633
稲城市 2,374 0 2,374 435 -1,939
青梅市 63,719 0 63,719 61,854 -1,865
檜原村 0 0 0 0 0
奥多摩町 0 0 0 0 0
渋谷区 65,962 0 65,962 76,443 10,481

(単位:千円)
※投資的経費:自転車等駐車場、整備費
※消費的経費:自転車等駐車場、管理費・撤去費・広報費等
※出典:東京都

もっとも赤字額が高いのは「練馬区」ですが、あまりにも額が違います。
「練馬区」の歳出と歳入は下記の通りです。

■「練馬区」歳出額の内容

投資的経費 ①公営の自転車等駐車場(②の保管所を除く。)の建設、増・改築に要する経費 935,124
消費的経費 ①公営の自転車等駐車場(③の保管所を除く。)の維持管理経費 636,212
②放置自転車等の撤去、移送及び所有者への連絡に要する経費 228,744
③放置自転車等の保管所の維持管理経費 31,932
④放置自転車等の処分・リサイクルに要する経費 1,388
⑤放置防止のための広報・啓発に要する経費 134,709

■「練馬区」歳入額の内容

撤去自転車等の返還手数料 29,980
売却による収入 10,582
公営の自転車等駐車場の利用料 168,780

(歳出歳入ともに単位:千円)

これを見る限り、歳入額の「公営の自転車等駐車場の利用料」に対して、歳出額の「公営の自転車等駐車場(②の保管所を除く。)の建設、増・改築に要する経費」と「公営の自転車等駐車場(③の保管所を除く。)の維持管理経費」が多すぎです。

「練馬区」の放置自転車数は707台と、それほど多くないので、駐輪場が利用されていれば、もう少し歳入があがってもよいのですが、駐輪場の収容能力(53,138)に対して、実収容台数(36,445)となっており、32%も余っています。

それにもかかわらず、さらに「建設、増・改築に要する経費」を積む必要があるのか疑問です。また、同じ台数の駐輪場を持つ足立区と比較して、歳出が多く、歳入が少ないです。練馬区は、足立区を参考に改善が必要と思われます。

広報に11億?

平成30年の消費的経費の「⑤放置防止のための広報・啓発に要する経費」に、

1,103,298,000円

が投入されています。
しかし、放置自転車が一番多い(秋葉原駅がある)千代田区は、広報費がほとんど使われていません。

出典:東京都:平成30年度『駅前放置自転車等の現況と対策』調査結果